DOG FIGHT

 COBRAが活動停止になりNAOKIが見れなくなると同時に私も高校を卒業。社会へ出る。そして思っていたよりも早く(雑誌上で)再会することになる。たまたま立ち読みした音楽雑誌に“元COBRAのNAOKIが新バンド結成!”という記事が載っていたのだ!私はその足でレコード店へ。そして『DOG FIGHT』のCDをみつけた。メンバー4人の顔アップのジャケットだ。「むむっ?NAOKIはどれだ?これか?」ジャケットのNAOKIはCOBRAの時とは違い髪の毛を立たしていなかったのだ!私は少し不安を覚えたが、そのNAOKIの横には見慣れた顔(笑)。COBRAでドラムを叩いていたKI-YANがいたのだ。私は自信から確信に変わった(笑)。そしてモデルのような?涼しい顔のお兄さんとビーバップ入ってる(←本人談)リーゼント兄ちゃんが写っていたのだ。それがKENとTAISHOであった。その時は「NAOKI〜こんなリーゼント兄ちゃんとつながりがあったんだ〜」なんて思っていたが(笑)、後にTAISHOがNAOKIの実弟と知り驚く。又、最初「NEW AMBITION」というアルバムタイトルとどっちが名前でどっちがタイトルかわからなかった(笑)。1stアルバムはパンク色が強く、COBRAが世の中からいなくなった穴を埋めるにひけをとらないバンドといった印象を受けた。雑誌などに記事が載る事も多く、雑誌は逐一チェックしていた。
 2ndアルバムが出た時は正直驚いた。バンドサウンドとしての方向が想像とは違っていたのだ。COBRA〜1stのパンク路線と思っていたところが、結構“聴かせ”の曲が多かったのだ。「これはきっと戸惑うファンも多いはず!!」と思った。案の定そういう人たちも多かったようだ。私はというと、なぜかすんなり受け入れられてしまったのだ。私の場合、曲だけでなく人を好きになってしまうので、こういう路線で行くんだな〜、と普通に納得。カラオケに沢山あればいいのに〜!と思う程、結構気持ちよく歌える曲が多いと感じられる(もちろん後期の曲も)。
 その当時の私はというと、休みもなくつらく苦しい下積み時代を送っていた。正直、DOG FIGHTの歌には励まされた。すごくいい曲、いい詞も多いし、多くの人に知ってもらいたいなぁと思いつつも、雑誌のコーナーは終わってしまったり、なかなか取り上げてもらえない事が多くなってきて、情報を入手するのも大変になってきた。映画に出たり、ラジオに出たり、アルバムからシングルカットされたりもしたが、世間的にはなかなか大ブレイク!とまではいかず、「こんなにいい曲なのに、なんで売れへんねんっ!」と思う事も多かった。ファンからすると、TVの歌番組とかに出て多くの人に聴いてもらえたら、絶対良さがわかるのに!!みたいな気持ちがあったけど、アルバムも進むにつれジャケットのページ数が減っていき、売れてないのかな〜と、やるせない気持ちだった。
 結局7枚目(内、1枚はライブアルバム)のアルバム「DOG FIGHT」が最後のアルバムとなった。バンド名がそのままタイトルになっているというのも何か集大成みたいな気持ちもあるのかと思ったし、ジャケットもホチキスで留めて本のようになっていたのが紙ぺらになってしまったので、もしかして…と思ったが嫌な予感は当たってしまった。でも、曲を聴くとどう考えてもこれで終わってしまうバンドのサウンドとは思えない!!これで終わってしまうなんてもったいない!!聴けなくなるのは寂しい!!という気持ちが一層強くなる。1枚1枚アルバムやシングルを出していく度に、DOG FIGHTらしさや良さを確立していっていたと思うし、実際多くのファンに惜しまれついに解散した。ちょうど私の下積み時代をDOG FIGHTは支えてくれたのだ。
 それから3年後の2000年8月、ソロ活動していたTAISHOの呼び掛けでメンバーが集まり、一晩だけの復活ライブが開かれた。地方からも多くのファンが集まり、熱いライブが繰り広げられた。